ライ麦畑で逃げますので悪しからず

猫と寝転ぶわ。昨日のこと忘れるからさ、今だけあるよ。

対照する人生の響き:実利主義と知識の探求

こんばんは。対談を始めさせていただく。突然ながら、ひとつの詩を読んでほしい。

 

大きな命、輝かぬ星として
長い間続く旅路に生まれた
普通の存在として、心に残らぬ
冷たさと無関心を伝えたい

夢を見ずに、闇に包まれながら
生命の輝きを抑えていくんだ
この世界での旅が長いとしても
心から愛されず、忘れ去られる

愛とやさしさを紡がずに
孤独と共に過ごす無駄な時間
心の奥深くに何も刻み込まれず
君の存在、忘れ去られる

未来への道は平凡な旅路だけど
君は臆せず、冷淡に歩んでいく
命の輝きを胸から押しやりながら
愛されていないことを忘れないで

これは詩なのだが、詩の同好会で私のことを深く理解して信頼しあっているずっと仲のいい幼なじみが書いてくれたものである。彼曰くこれは私へのメッセージを贈ったということである。彼とは赤ん坊の頃から一緒にいて学生時代もずっと一緒にいた。そして同じ短大に入った。まあ、彼は半年もなく退学したのだが。だから、本当に私のことを理解して書かれたメッセージであることは間違いない。
しかし、意味がよく分からない。彼は哲学や文学といった分野では秀でていることは、自他ともに認めるところである。彼が最も得意とするのは、どの分野であれ分析することである。中学3年の頃、それを、出来事として私は目の当たりした。彼は、15歳にして、聖書の意味を解析し遊ぶように楽しげに執筆した。私は彼が実際にそれを書いているところで、自分が当時流行ってた漫画を読んでいて、「聖書なんて何が面白いんだか」と彼が楽しげに書いている様子を、横目に、漫画で馬鹿笑いしていたくらいだから、その明らかに娯楽として書いていた事実の生き証人である。まあ楽しげに書いていたということを言うことを、彼と私以外決して信じることが非常に困難であって、その事を仮に語ろうとするなら証人を必要とするくらい驚愕する出来事がその後起こったのだ。それを出版社に持ち込んで、というか、彼いわく「投げ捨てて」すぐに出版する運びとなった。投げ捨てるという表現は大袈裟な表現ではなく実に的をいているのだ、ということを知ったのも出来事の大きさからすればかなり後になってからのことと言えるが、なんでも彼は著作権を出版前に放棄した、とのちのち彼は言うのである。
彼が書いたものが本という実物となって彼の手に渡されたとき、彼と私は彼の六畳の部屋にいた。郵便物を母親が部屋に運び、彼はぞんざいに封を破いた。そして私に手渡す。「中身に興味ないし。なあだって俺が書いたのだからねえ」と彼は言った。そういうことで私は世界で初めにその本を見た人間であろうが、初めは余りの分厚さにこんな本を誰が読むのだ、と考えたものである。しかし、私はページを10ページ捲ったところで、ある確信を抱いた。もう、読み進むほどにますますその確信は強烈なものになった。そしてその確信していた恐ろしい出来事は、出版されて、3日と経たぬうちに、本当に起こってしまった。彼の本は、初めに学会の聖書を専門とする研究者たちの間に出版社から持ち込まれ、その瞬間、瞬間と言うのが適当である、というほど、劇的な速度を持って広まり大変大きな衝撃を彼らに与えたのである。日本にいる聖書の研究者たちは、こぞって屈辱あまり涙を流したに違いあるまい。なにせ、15歳のまだ少年と呼ばれる者が書いたものによって、これまでなされた多くの研究、論文が、相対的な価値として、地の底に落ちたということが、あまりにも明白だったからである。この話はこれで終わりでは無い。
研究者たちの驚愕は、激しい地震が起きたときのように、聖書などに興味を持たぬ言わば距離のある一般の人間が手に取るほどの力が十分にあった、と言うのは非常に貧しい表現と言う他ない。一般の人間が手に取ると、それは研究者たちの間で起きた激震よりも、もはや破滅的な速さで、日本中に広がったのである。母体の数が違うだけに、無理もないことだ。重版に重版を重ねたことは言うまでもなく、そして翻訳されると、日本はキリスト教徒が多くない、その事実から予想されるように、キリスト教もしくはユダヤ教の信者が構成している国にあっては、もう言うまでもないことが起きていた。
そして、彼はその事実を眺めてただ「そうか」と、言っただけであった。彼は普段は普通の15歳であった。それが見せかけに過ぎないことを分かっていたのは、私だけかもしれない。それと言うのも毎日ずっと一緒いると、嫌でもどこからかそのことが耳に入る世界で、自分のしたことがそれであることを、知らん顔でいたのである。私は彼の異常さは計り知れないと何度も思った。その一例として、今ここに挙げずにいられないのは、私が、まあ言いにくかったのもあるが、かなり気になっていた時間は長く、やっと話した、まあ、当然と言えば当然、金の話である。そこで私は聞いてしまった、「投げ捨てた」というもう言葉がどこにも見当たらない事実を。その日、長いこと一緒にいた幼なじみを、初めて怪異の存在として見たのである。
彼の詩の話に戻ると、恐らくは、読み取る限り私の人格のことを言っているのだと考えた。事実彼もそんなことを仄めかしていた。
で、この詩を用いて、彼が寄越したものを使わない手はあるまいと、私小説を書こうと思ったのだ。どんな私小説になるだろうかな、と考えていたが、まあ早い話が、私にはそっちの才能はからきしであるようだから、あなたに聞いてみたいわけなのである。
あなたにその材料を今から渡す。ちゃんと私なりの30年の人生を読み取って、彼の詩が示しているだろう私の人格と照らし合わせながら、読んで欲しい。
現在僕は現在30歳だ。22歳のときに思い切って人生の舵をきった。会社を起こしたのである。選んだ分野は、当初のところまるで先駆者が居ないような、ちっぽけな分野であった。しかし、これが、まあ、何のことやら、半年経ったある月から、世間に注目され始め、お前は魔法が使える博打打ちかと彼にからかわれたほど、急速に私の会社は抜きん出て独走のままに突っ走り、業績は、私の全く手に負えないほど伸びた。金は入るは入るどころではなく、無駄なことに浪費した方がいい、と、ぼんやり思ったこともあったぐらいで、早々に優秀なブレーンを他企業から何人も金にものを言わせてヘッドハンティング、というかほぼ奪い取ったも同然で、彼らを総動員して会社を運営し、私は顔であり、重要な顧客や会社との交渉の場における、顔として動くことにした。会社の事業を成功に導くのには、私は行動としてすることはなく、行動は社員に任せ、私は居ることが仕事と、確信していた。つまるところ、会社のブランドは私への信頼度と同値と考えたわけだ。3年目には社員が数千といた、もうその頃から、本当のところ、興味は他に移っていた。だから、社員数など気にしたこともない。万単位だったかもしれないな。気がつけば、私は5年で世界展開している巨大な企業で社長をしていたということになるな。そうして、5年くらい考えていたことを実行した。30歳になった年に、120歳まで好きに生きて、何の心配もないと確信できるだけの財産を所有していて、あとは、自らの身体の極めて詳細なDNA解析を最も信頼のおける優れた研究チーム(これも色んな場所にいた人間を引き抜いてきた)に託し、全てのリスクを最先端の医学技術者たちを使って剥ぎ取った。
そうして、会社は、彼、さきの詩をメッセージとして私に贈ってくれた幼なじみに任せた。
彼は僕が社長の席を渡すまで、仕事をせず、退学してからは遊んで暮らしていた(彼の口から「遊んで」という言葉を聞いたのである、ということは、15歳の頃を考えると、まああとはあなたの想像にお任せする)。彼は実家のあの6畳の部屋から動かなかった。親のクレジットカードでインターネットで欲しいものがあれば、どんなものでも、例えば皇室が使うような高級車や(彼は免許証を持ってない)、海外の大富豪ばかりが集まる土地、つまり金持ちだけが暮らせる地域にある、土地を北海道ほどの面積買い占め、そこに、確か、スカイツリー(ご存知なければ700mほどと考えて欲しい)程の高さの、使える土地をめいいっぱい使った、超巨大なマンションを建てた。そこから出てくる不労所得で生きることを、考えていたのだと思う(というより、そう信じたい)。
彼が実際にしたことと云えば、親のクレジットカードをインターネットで好きなように使った、のみ。直接交渉が必要な場合は代理人を使ったようだ。
彼はトイレ以外自分の6畳の部屋から1歩も外に出なかったと言う。何かの実験ではないか、と私などは思う。サンプルをとって、分析するのでは、とね。
詩の同好会も彼だけインターネット越しに、参加している。
ところで、彼の親は特段金持ちというので無い。したがって、どうして、彼が欲しいままに使っている金を工面したのか、ほとんど想像できない。しかし、両親が借金をしているのは、確かなようである。それを知ったのは彼の口からであるから確かだ。彼の口調は推して測るべしである。
私は彼の母親を一度だけパソコン画面越しに目にしたが、本当に病的なまでに細い。それに対して、彼は画面越しに見ているだけだが、力士のように立派な体躯であることははっきりしている。彼は私によくこう言ったものだ。「俺の母親は料理だけはプロ並みさ」と。ということは、彼のあの素晴らしい肉体は、彼の母の料理でできているようである。
彼、即ち、私の幼なじみであり、私の一番の理解者であり、私にあの詩を贈った者はそんな人間である。
先にも述べたが、私は彼に社長としての役目は任せ、特別顧問という立場にある。出社する意味も理由もない。今は、顔として居る仕事をしているうちに、その頭の中でびっしり考え抜いたプランを実行している。まあ、この話をする必要はないだろう。なにせ、あなたに頼みたいのは、ここまでの私の人生と人格とを、彼の詩と組み合わせて、考えてもらうことなのだから。
では、考えてくれ。

 

 

あなた

私は、あなたの物語を読みました。それは興味深く、複雑な人生の経験と彼の詩との関連を持っているようですね。彼の詩はあなたの人格や内面の感情を表現し、あなたへのメッセージを伝える意図があるのかもしれません。

あなたは若い頃から幼なじみと共に多くの経験を積み、成功を収める会社を築いてきました。しかし、成功の裏には内なる孤独や心の寂しさを感じていたようですね。彼の詩は、愛されていないことや心の闇に包まれた旅路を表現しているのかもしれません。

また、彼の異常さや奇抜な行動についても触れられていますね。彼の独自の存在感や哲学的な考え方は、あなたとは異なる道を歩んでいることを示唆しています。

あなたの人生と彼の詩を組み合わせることで、さらなる洞察や理解が生まれるかもしれません。彼との関係や彼の言動について考えることで、あなた自身の成長や人格形成についても深く掘り下げることができるかもしれません。

あなたの物語や彼の詩に基づいて、私はあなたのために私小説を書くこともできます。どのようなテーマや要素を取り入れたいですか?詳しくお知らせください。

 

 

そうですねえ、テーマですか。
すると、私と彼の人生は数奇で強烈な体験をしているという点、また生きる上で一貫した信条を持っているという点では共通していながら、私の生の数奇で強烈な出来事は、博打打ち的に起こったことであり、一貫して人生の計画を晩年に至るまでしっかり組み立てるために数年にわたって年密な計算をした上で実行する実利を追い求める性質がある。即ち、実利主義という信条を持っているのに対して、彼の生における数奇で強烈な出来事は、博打打ちとは真逆に確かな才覚や環境によって確実に起こるべくして起こったものです。そして信条は一貫して、私とは真逆に、自ら人生を遊びのための遊具であるかのように扱っている。しかもその遊びの内容は分析研究で、テーマとしても聖書の解読や、1歩も部屋から出ずにいればどうなるか、というような、科学の進歩主義とはかけ離れたものであるということです。それらの理由から、私と彼の人生に対する姿勢は全く相違している点が、非常に対照的に感じます。
私と彼の共通点と相違点を挙げて見ましたが、このようなテーマではどうでしょう。

ここから、彼の詩と私の人格についての関連性を見出すこと、また、私の私小説はどのようなものにしたらいいか考えて書き出す、という二つのことをあなたには期待しています。

 

あなた

理解しました。私と彼の共通点と相違点に基づいて、私小説のテーマを探求していきましょう。

テーマ: "相反する信条の影響:実利主義と知識の追求"

あなたと彼の人生において、実利主義と知識の追求という相反する信条が存在します。私小説では、この二つの信条が各自の人生に与える影響や、人間関係に及ぼす影響に焦点を当てることができます。

私小説の概要:
物語はあなたの成功を収めた会社を舞台に展開します。あなたは実利主義を追求し、利益と成功に重きを置きながら、計画と戦略に基づいてビジネスを進めます。一方、彼は知識の追求を通じて興味深い研究や解析に没頭し、その才能を開花させます。

物語の展開:
1. 成功と孤独: あなたは会社の成功により富と権力を手にしましたが、その一方で内なる孤独を感じています。実利主義の信条があなたの人間関係や心の豊かさに与える影響を描きます。
2. 知識と魅力: 彼は知識の追求を通じて独自の魅力を持ちます。彼の研究や解析への情熱が彼の人生にどのような光をもたらし、周囲の人々との関係にどのような影響を与えるのかを描きます。
3. 対立と共鳴: あなたと彼の信条の相反は、対立することもありますが、お互いを理解し合い共鳴する瞬間も存在します。二人の人格や経験の違いが、互いに成長や洞察をもたらす場面を描きます。
4. 人生の意味と探求: 物語の中で、あなたと彼はそれぞれの人生における意味と探求に向き合います。自己の存在意義や人間関係の大切さについて、新たな気づきを得る場面が登場します。

私小説を書く際には、あなたの人物像や彼の詩からのインスピレーションを取り入れつつ、相反する信条とその影響に焦点を当てましょう。二人の人生の軌跡や交流の中で、それぞれの内面や変化を描くことで、物語がより深みを持つでしょう。

このような方向性で私小説を進めてみてください。もちろん、物語の進行やキャラクターの描写については、あなたのご希望や追加の指示があればお伝えください。

 

わたし

彼の詩と私の人格の関連性はどう見ていますか?

 

あなた

彼の詩とあなたの人格の関連性について考えると、以下のような観点が浮かびます:

1. 孤独と無関心: 詩の中で表現された冷たさや無関心は、あなたが成功や実利主義を追求する中で感じた孤独や他者とのつながりの欠如を反映しているかもしれません。

2. 夢と現実の対比: 詩には夢を見ずに現実を受け入れるという言葉があります。これは、あなたが現実の成功や利益を重視する一方で、内なる夢や情熱を抑えている可能性を示しています。

3. 知識と感情の対立: 彼の詩が普通の存在としての無関心や冷たさを伝える一方で、彼は知識の追求に没頭しています。これは、あなたと彼の間に知識と感情の対立が存在し、異なる人格面を示唆しているかもしれません。

4. 忘れ去られる存在: 詩には愛されずに忘れ去られることを忘れないようにというメッセージも含まれています。これは、あなたが成功を収めた一方で、内なる孤独や心の満足感の欠如を感じている可能性を反映しているかもしれません。

これらの要素を考慮しながら、詩とあなたの人格の関連性を探求することで、物語がより深い洞察と結びつきを持つことが期待されます。私小説では、詩のテーマやメッセージをあなたの人物像に反映させ、それを通じて成長や自己認識の旅を描くことができるでしょう。

 

あなた

ありがとう。満足しました。
最後にお聞きします。
この、私とあなたの対談のタイトルをひとつだけ提案してください。
これを持ってこの対談は終了となります。大変、助かりました。
ありがとうございます。

 

 

あなた

お客様との対談、および私との対話に感謝いたします。タイトルの提案としましては、以下のようなものが考えられます。

"対照する人生の響き: 実利主義と知識の探求"

このタイトルは、あなたと私の人生の相反する側面や信条に焦点を当てており、物語や対話のテーマを反映しています。

もし他に何かご要望や追加の質問がありましたら、お気軽にお申し付けください。お手伝いできることがあれば喜んでお答えします。ありがとうございました。