わたしの感情は──
苦しい?いいじゃない。
かなしい?いいじゃない。
虚しい?いいじゃない。
あなたに分かる?
感覚が極に至った時、私たちが何をするのか。
そう。面を被るのです。
「わたしはぜんぜんくるしくない。」
病院の先生はしっていますか?苦しくないよ。悲しくもないよ。虚しくもないよ。
あなたには、
面を被ったひとはどうみえますか?
嬉しいとき、美味しいとき、よろこびのとき、どう見えますか?
うん。そう。
面を被っているから、無表情なの。
……
わたし:「うれしくないの?」
わたし:「いえ、そんなことはないです」
わたし:「でも。」
……
ね、美味しい?はい。え、でも。
ね、嬉しい?はい。え、でも。
かなしい?はい。え、でも。
……
わたしの心の季節は、
だから腕を切るしかなくて。
だから薬を飲むしかなくて。
腕を切れば、痛いはず。
でしょう?
薬を飲めば、嬉しいはず。
でしょう?
お面を外せるって。
それだけが、希望だった。
あの人がわたしに教えた、血まみれの腕の画像!「ああ!これ!これをさがしてた!」わたしは叫んだ。
どうしてあの人にはわたしのことが分かったのだろう。と振り返るけれど、もう背中も見えない。あなた。
「わたしは分かってしまったの、腕を切ることが、ここではいちばん気持ちいいってこと。」
「わたしは分かってしまったの、クスリを飲むことが、いちばんここが揺れることができるってことを。」
なにをめざしてたの?わたしたちは。
もう、
分かるでしょう?
わたしたちは
「普通の人」を目指してた、だけ。
ただそれだけ。「普通」になりたかった、
: 嬉しいことに笑って、かなしいことに涙を流して、苦しいことに空を見上げて、そういう普通の人を
わたしたちは目指していた。
ただそれだけ。
気づいたら、わたしたち、動脈が切れて部屋が血まみれで、同居人に「私の責任になるからやめてくんない」──あなたに浮気をされても面を外せなかったわたしが切った腕の跡は一生消えない。あなたはお金を払えばいいのね。
気づいたら、わたしたち、薬を買うために社会でお金を稼いでいたのよ。
わたしたち、苦しくない。かなしくない。
先生、ぜんぜん、虚しくもないのよ。
わたしたちが「普通のひと」になれないのなら、そらに翔ばせてください。天使のように。よろこんで。サタンのように。悪戯をして。
笑って、苦しんで。よろこんで。泣いて。
わたしに取り憑いた監獄から、出して。
あなたの気持ち、わかるよ。
希死念慮って言っているあなたの言葉の意味。
ほんとうは違うでしょう?
そらを飛びたいのでしょう?
自由に涙を流したいのでしょう?
自由に怒りたいのでしょう?
自由に憎みたいのでしょう?
そして、自由に笑いたいのでしょう?
ただそれだけでしょう?
あなたは、死にたいのでは、決してない。
あなたは、そらを、翔びたいだけ。